今年も2月20日の福井大学 卒業設計講評会に参加しました。

今年の審査員は
長田直之氏(建築家 奈良女子大学准教授)、
横山天心氏(建築家 富山大学講師)、
そして、私。

昨年より低調気味な作品群。
卒業設計となると、様々なモノゴトの関係性を複合的に読み解き、
それらに対する回答としての建築が求められます。
でも、今年の作品群は総じて、一視点、一方向からのみ解決を図る傾向が強かった。
この卒業設計の低調な傾向は全国的にあるみたいで、
「ゆとり世代(彼らはその第一期)」の弊害とみる分析もありました。

今回も岐阜、富山、福井の駅前の空洞化に対する問題に対して、
「賑わいの創成」という回答をしている作品がいくつかあったけど、
人口が減少していく世の中にあって、
駅前(身近な問題としては福井駅西口再開発)の「賑わいの創成」という課題は、
もはや意味をなさないのではないか。
都市の中の空洞化を何に、どうやって変換させるか、
何によって満たしていくのかが課題となるののではないでしょうか。
そんな問題設定を予感させてくれる作品もあったけど、
残念ながら、提案していたものは「あいかわらずの建築物」。

その中でも、世の中の問題意識や、周辺環境に対する配慮も薄く、
従来のビルディングタイプを脱却してはいないけど、
「卒業設計のトレンド」とは離れた位置にあり、
自分の目指す方向性を打ち出していた作品には、審査員の3人とも高評価。

卒業設計には、世の中に対する問題意識、
そして、そのことに対して、
「これからの建築にできる役割」をみせてくれることを期待したいです。

「駅前の顔=立派なビル=賑わいの創成」という
3段論法的流れの福井駅西口再開発にも、
これからの福井に本当に必要なものは何か、
もう一度見直しが必要なのではないでしょうかね...。

講評会

2010年3月 1日 | コメント(0)

27日(土)は、福井大学の卒業設計展講評会に審査員として参加。

全体的な感想としては、まちづくりや社会の問題点に対して、
計画学的にシッカリと物事を組立てた上に、建築をつくっている案が多い。
しかし、断面的、立体的、空間的な構成力が弱く、
シークエンスの展開に、ワクワク出来そうなものが少なかった。
奈良女子大准教授の長田直之氏をして「福井大学病」と言わしめた、
スラブやレベル間の断絶に、福井大学の建築教育のマンネリ化が見え隠れしている。
(OBだがらこそ言えるのですが...。)

そんな中、魅力的な建築をつくっている案も数案。
それらの案は都市のスキマに連続した建築をつくるものが多かったのだが、
それは都市や社会の問題に対して、よい方向性をもたらすことができるのは、
一拠点の建築(西口再開発ビルのような)ではなく、連続した空間やシステム(商店街もその一つ)が絡み合うことで出来るだろうなと期待させられた。

また、ほとんどの案がパースや図面だけではなく、
模型もつくっていることに学生の熱を感じる。やっぱり、建築は模型をつくらないと...。

夜は、学生の打上に参加。
自分が学生だった頃以上に、建築に対して真面目な学生達...。
これからの建築をつくるのは彼ら。
色々と模索しながら進んでいって欲しいものです。

今回の講評会は、私にとっても良い刺激となりました。
ちょっと残念だったのが、環境を意識した提案がなかったこと。
詩的、論理的、計画学的、都市工学的なアプローチも大事だけど、
環境工学とデザインを融合させた提案も、コレからの学生達に取組んで欲しいです。
もちろん、当事務所も取組まないとね。

R0011594.JPG

R0011597.JPG

2月20日(土)は福井大学の学生(SAK)が主催した講演会。

武井誠+鍋島千恵/TNA 
「関係性の凝縮と単純な形態」    へ。

敷地や施主をとりまくあらゆる関係性を整理する中で、
莫大な可能性の中から、一つの解決ツールを探し出し、
そのツールを拠り所にスタディを重ねる。
その結果、単純な形態が、凝縮された関係性を成立させている。
その明快さ、空間の割切りの良さ(スタディはかなりネチッこくやっていそう。当事務所もネチネチですが...。)に感嘆。

地方で建築の設計をしている自分の立ち位置を、改めて確認。
これからも質の良いものをつくり出していきたい。

TNAの御二人、SAKの学生に感謝。


そして、27日(土)は福井大学卒業設計の学生主催の講評会。

審査委員には全国区で活躍されている建築家、長田直之氏(福大生や私の大先輩)。
そして、実は私も審査委員として呼ばれております。
福井に来てからは、ナカナカ建築議論をすることもなく、
日々、職人さんと議論することの多かった私ですが、
昨今の学生の建築潮流を下調べして、講評会に挑みたいと思います。

講評会でも、プロポでも、コンペでも、そうなのだけど、
実は、提案者が審査員に評価されるだけではなく、審査員も評価される。
提案者だけではなく、それを取巻く社会から「何故、この案が選ばれたのか?」
ということに対して評価される。
ある意味、提案者以上に審査員の資質が問われる。

ちょっと緊張...。

h邸20090724

2009年7月24日 | コメント(0)

本日は、h邸基礎のベース打設。

R0010589.JPG

布基礎は、一般的にはベタ基礎にするよりコンクリート・鉄筋量が少なくて済みます。打設が3回となるので現場の方は敬遠しがちですが、当事務所では構造事務所と相談の上、布基礎を選択することが多い。 

20090715.JPG

日をさかのぼって、捨てコンを打つ前に地盤補強として、三谷セキサンのH型パイル。
打ち込みや掘削ではなく、圧力挿入なので大きな音がしない。木造住宅の場合、深いところに支持地盤がある場合は、今までは柱状改良が主流だったけど、このH型パイルは現場がキレイなままだし、信頼性も高い。かなり良い感じ。

瑞源寺

2009年6月20日 | コメント(4)

今日は瑞源寺を見学。
20090620-1.jpg

瑞源寺は福井藩松平家の菩提寺のひとつ。もともと福井城本丸に御小座敷として建てられたものを1860年に移築して本堂としたもの...とのこと。
今回の修復工事の設計は国京克己先生。国京先生との御付合いは2003年、私が福井に来て間もない頃。素敵な住宅を見つけた所、その設計者が国京先生でした。

さて、瑞源寺はもともと殿様の住まいとして建てられたものだから、よく目にする寺の佇まいとは大きく異なり、柱が細く、空間が小さく個割されています。意外なほど質素な空間に、丁寧な姿勢で修復がなされたことを感じることができました。このような修復はサナガラ推理小説のよう。少ない文献と、柱の刻み等から様々な可能性を論拠建てて設計されています。一般的な建築物とは別のワクワク感がありそう。


渋い屋根。コケが生している。

20090620-3.JPG
シャク谷石採石場跡。奥からムチャクチャ冷たいい風が流れていた。

20090620-4.JPG       大海嘯にのみこまれる家。


午後はh邸の工事契約。
今回の施工は武生の会社 サンウッド さん。
いよいよ始まります。